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看護師国家試験対策/知っておきたい制度改正・新制度
 厚生労働省は2009年4月13日「平成22年版保健師助産師看護師国家試験出題基準」を公表しました。それに基づいて、平成22年の第96回保健師国家試験、第93回助産師国家試験、第99回看護師国家試験から適用する保健師助産師看護師国家試験出題基準が、改定されることになります。また、従前からの同出題基準においても重要な項目の1つである介護保険制度について、今年4月と5月に大きな改定・改正が行われました。今回は、その2つの改正・改定のポイントを見ておきましょう。
1.保健師・助産師・看護師国家試験出題基準の改定のポイント
改正の経緯
 厚生労働省の医道審議会の保健師助産師看護師分科会と保健師助産師看護師国家試験制度改善部会が昨年3月14日に合同会議を開き、同月24日付けで保健師助産師看護師国家試験出題基準に関する報告書をまとめました。同報告書に基づいて、同分科会では保健師助産師看護師国家試験出題基準改定部会(非公開)を設置し、このほど「平成22年版保健師助産師看護師国家試験出題基準」をまとめ、公表したのです。同出題基準の改定は6年ぶりとなります。
事実上の経過措置
   新しい看護基礎教育カリキュラムが平成21年度から適用されていますが、今回の出題基準の改定は同カリキュラムを踏まえてのもので、事実上の経過措置をとっています。それについて、厚生労働省では次のように説明しています。
 「保健師、助産師については平成22年より、看護師については平成24年より従来の看護基礎教育カリキュラムで学んだ卒業者と改正後のカリキュラムで学んだ卒業者が混在することから、両者が同じ保健師助産師看護師国家試験の問題で受験する場合であっても、互いに不利益を被ることがないような内容とした」
看護師国家試験での主要な改定事項
 看護師国家試験出題基準の主要な事項における改定のポイントは、次のとおりです。

◆必修問題
特に看護活動の場の拡大、活動内容の多様性、基本的看護技術の充実を念頭に置いたうえで、出題範囲を拡大。
◆人体の構造と機能
「生命と恒常性(ホメオスタシス)」を設け、遺伝学の要素を取り入れた。
◆疾病の成り立ちと回復の促進
薬物療法を独立させるとともに「免疫機能の障害」を追加。
◆社会保障制度と生活者の健康
人口構造・就業構造、環境と健康との関連、看護職員の確保・労働に関する視点を追加。
◆在宅看護論
「訪問看護ステーションの理解」を追加。
◆小児看護学
「子どもの人権」を意識し、全体を見直すとともに「在宅における子どもと家族の看護」を追加。
◆母性看護学
チーム医療の視点を追加。

 なお、今回の保健師助産師看護師国家試験出題基準の改定についての文書が厚生労働省のホームページで公開されており、これに目を通しておくことが望まれます。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/04/tp0413-1.html

2.制度改正・法改正について
制度と法体系の仕組み
  今回の看護師国家試験出題基準の改定において、同出題基準の範囲としている医療・福祉の制度や関連の法律については、一見すると以前と大きな変わりはないようです。
 しかし、ここで注意が必要なのは、制度や法律そのものの改正/改定が行われることです。つまり、それらの制度や法律については、その改正/改定を意識し、常に新しい知識を持っておくことが、単に国家試験の準備という意味だけでなく、医療人として求められます。
 また、制度・法律を理解するうえでのポイントとなるのは、次のとおりです。

(1)介護保険制度のように比較的大きな制度の法令の体系は、「法律」→「政令」→「省令」→「告示」という流れになっていて、全体を規定している。すなわち、「法律」とは国会が制定し、制度の骨格を定めるもので、最も上に位置する概念である。「政令」は、国会を通さず政府レベルで定めるもの。また、「省令」と「告示」は、政府ではなく各省のレベル(大臣名)で定め、制度の細部を規定するものである。
(2)法律、政令、省令、告示については、その内容を広く国民に知らせるために、官報に掲載される。これを「公布」という。官報に掲載された日が「公布の日」となる。
(3)「公布」と「施行」(「しこう」、政治家や役人は「せこう」と言うことが多い)の違いを理解し、どの段階なのか常に意識しておく。すなわち、法令に実際の効力を発生させることを「施行」と言う。「公布の日」イコール「施行の日」とされていることもあるが、一般には「公布」からある程度の日にちをおいて「施行」となる。
(4)政府では、官報の過去1か月分をインターネットで公開している。また、新しい法律、改正法、政令を公布したとき、官報においてその概要(あらまし)が掲載される。
http://kanpou.npb.go.jp/
(5)「通知」(通達)と呼ばれるものは、例えば厚生労働省の局長、課長といったレベルの役職者が発出するものである。概念としては「告示」の下に位置し、「法令」には相当せず、官報にも掲載されない。「公布」という形もとられていないので、一般の看護職や看護学生が厚生労働省の局長の「通知」(いわゆる「局長通達」)の内容を知らなくても、何らとがめられることはない。

介護保険制度の改定/改正
  介護保険制度は「平成22年版保健師助産師看護師国家試験出題基準」においても中項目として挙げられており、きちんと理解しておかなければならないものです。今年4月と5月、介護保険制度に関して改正/改定が行われており、注意が必要です。
 まず、今年4月に介護報酬の改定(平成21年度介護報酬改定)、要介護認定制度の見直しなどが行われました。介護報酬(単位)そのものの改定は、告示によって行います。具体的には、今年3月3日に「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準の一部を改正する件」(厚生労働省告示46号)、「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の一部を改正する件」(厚生労働省告示第47号)ほかを告示することにより、介護報酬改定の内容を公布し、4月1日から適用(施行)したのです。ちなみに、介護報酬は全体として3%の引き上げになっていますが、この改定率自体は昨年10月末に政府が決めています。
 要介護認定制度の見直しについては、3月31日に「要介護認定等基準時間の推計の方法の一部を改正する件」(厚生労働省告示189号)を告示し、4月1日から適用(施行)しています。これは、調査員による主観によって認定調査にバラツキが生じるのを防ぐことが大きな狙いです。
 また、5月1日に「介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律」(平成20年5月28日公布)が、施行されました。これは、介護保険法の一部改正、老人福祉法の一部改正からなるもので、特に「介護保険法の一部改正」のほうを理解しておく必要があります。
 今回の介護保険法の一部改正は、一昨年発覚したいわゆる“コムスン事件”を教訓として行われたもので、介護サービス事業者の不正の再発を防ぐことが大きな狙いです。そのポイントは次のとおりです。

(1)介護サービス事業者の法令遵守を徹底するため、介護サービス事業者に対し、業務管理体制の整備を義務づけた。
(2)組織的な不正行為の有無を確認するため、厚生労働大臣、都道府県知事、市町村長に対し、介護サービス事業者の本部・関係事業所などに対する立入検査権を創設した。
(3)不正事業者の処分逃れを防止するために、事業の休廃止の届け出は、事後届け出制から事前届け出制に改めた。
(4)介護サービス事業者が事業を廃止しても、利用者のサービスを確保するために、事業を休止・廃止しようとする事業者に対して、他の介護サービス事業者との連絡調整など義務づけた。

          ◇          ◇
 このように、制度改正については、法律のレベルでの改正なのか、それより下位に当たる省令や告示のレベルでの改正なのかといった視点で見ていくと、全体の構造が理解しやすくなります。
 2009.04.28
医療ジャーナリスト 牧 潤二
看護師就職ニュース

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