看護師国家試験対策/知っておきたい制度改正・新制度(第2回)
病院用ベッドのJIS規格改正は安全対策の観点から理解を

 平成22年版保健師助産師看護師国家試験出題基準(以下「出題基準」と略)にかかわる事項として、今年(平成21年)4月以降、(1)病院用や介護用ベッドの新JIS規格、(2)「日本人の食事摂取基準」2010年版、(3)平成20年人口動態統計の概況、(4)介護保険事業計画第4期の保険料の動向――など、知識を新たにしておきたいことが公表されています。特に、ベッドの新しいJIS規格については、規格の改正といった次元ではなく、医療現場の安全対策という観点から理解しておくことが望まれます。それら4つの事項のポイントをまとめておきましょう。
病院用ベッドなどに新JIS規格

 出題基準の大項目「患者の安全・安楽を守る技術」での中項目の1つに「療養環境」があり、その小項目の1つとして「ベッド」があります。このベッドに関するJIS規格が、今年3月20日に改正されました。これには近年、特に介護用ベッドで手すり(柵)の隙間に使用者の首が挟まれて死亡するなどの事故が発生している、という背景があります。それを踏まえて、JIS規格の主務官庁である経済産業省が、その改正を行ったのです。

今回のJIS規格の改正のポイントは次のとおりです。

 (1)病院用ベッド、在宅用電動介護用ベッドそれぞれについて、サイドレールとサイドレール、ベッド用手すり(グリップ)とヘッドボードなどの隙間について、「○○p以内にする」といった静的な規格ではなく、そこに実際に頸部などが入り込まない規格とする。具体的には、その隙間に対し、直径6pの硬い円柱形の試験用ジグ(jig、ここでは道具の意味)を50ニュートンの力で押し込もうとしても、そこに入り込まないことを確認する、というものである。例えば、サイドレールとサイドレールの間がラッパ状に開いているような場合、頸部がだんだんと入っていく恐れもあり、新JISでは「不適合」とされる。(下図参照)

 (2)上記の観点から、ベッド用手すり(グリップ)についても、性能などを規定した。(左図)

 (3)病院用ベッドのJIS規格については、従前は手動式ギャッチベッドだけが対象だったが、電動ベッドも対象に加えた。
 すでに、ベッドの大手メーカーからは、その新JIS規格に基づいて、サイドレールとサイドレールの隙間のサイズを変えるなどの改良をしたベッドの販売が始まっています。しかし、医療の現場に新JIS規格のベッドが普及するには時間がかかるので、当面、看護職においては、ベッドの周辺の隙間を意識しながら日常の業務に取り組むことが望まれます。
 なお、JIS規格の改正の詳細については、日本工業標準調査会のホームページのデータベースで、「病院用ベッド」(JIS番号:T9205)、「在宅用電動介護用ベッド」(JIS番号:T9254)をキーワードとして検索し、その内容を閲覧することができます。(印刷は不可)

「日本人の食事摂取基準」2010年版
   出題基準の大項目「基本的日常生活援助技術」での中項目の1つに「食生活の援助技術」があり、そこでの小項目の1つに「健康な食生活と食事摂取基準」があります。その小項目に関連する新しい動きとして、厚生労働省が今年5月29日、「日本人の食事摂取基準」(2010年版)を策定・公表しました。これは、厚生労働省が5年ごとに策定しているもので、現行は同2005年版です。新しい同2010年版は、平成22(2010)年度から平成26(2014)年度までの5年間使用されることになります。
 新しい「日本人の食事摂取基準」(2010年版)のポイントは次のとおりです。
 (1)健康な個人または集団を対象に、健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的として、エネルギー(推定必要エネルギー量)、主要な34種類の栄養素について摂取量の基準を示したものである。医療機関内で患者に対して直接的に使用するものではないが、特に保健指導にかかわる看護職においては、知識として必須なものである。
 (2)現行の「日本人の食事摂取基準」(2005年版)と比べると、推定必要エネルギー量については、小児と若年女性では減少、高齢者では増加している。また、ナトリウム(食塩相当量)の目標量が男性で9.0g/日未満(1.0g引き下げ)、女性で7.5g/日未満(0.5g引き下げ)と、それぞれ引き下げられている。
 なお、「日本人の食事摂取基準」(2010年版)の詳細は厚生労働省のホームページに出ているので、目を通しておきましょう。
平成20年人口動態統計の概況
 

 出題基準の大項目「健康に関する指標」での中項目の1つに「人口動態」があります。これに関して、厚生労働省は今年6月3日、平成20年人口動態統計月報年計(概数)の概況を公表しました。その要点は次のとおりです。
 (1)平成20年の出生数は109万1150人で、前年よりわずかに(1,332人)増加した。出生率(人口千対)は8.7である。合計特殊出生率(15〜49歳女性の年齢別出生率の合計、一人の女性が一生に産む子どもの数を意味するもの)は1.37で、前年を0.03上回った。
 (2)死亡数は114万2,467人で、前年より3万4,133人増加している。死亡率(人口千対)は9.1(前年比0.3増)である。
 (3)出生数と死亡数の差を意味する自然増減数は▲5万1317人。自然増減率(人口千対)は▲0.4で、2年連続のマイナスとなっている。このように、我が国の人口が明確に減少に転じた形となっている。

介護保険事業計画第4期の保険料の動向
 

 出題基準の大項目「保健医療制度の基本」での中項目の1つに「介護保険制度」があります。それに関して厚生労働省が今年4月23日、介護保険事業計画の第4期(平成21〜23年度)の介護保険料の全国的動向について公表しました。
 平成12年度から始まった介護保険制度は、3年を1期として各保険者(市区町村または広域連合)が介護保険事業計画を策定するとともに、それに基づいて第1号被保険者(65歳以上)の保険料(第1号保険料)を決定する、という仕組みになっています。また、そのサイクルに合わせる形で、介護報酬の改定も3年ごとに行っています。
 平成21年度からその第4期に入りました。厚生労働省の調べによると、第4期(平成21〜23年度)の第1号保険料は加重平均で月額4,160円となり、前期(第3期)と比べると1.7%増加しています。ちなみに、同第2期から第3期にかけて同保険料は24.2%増加しており、それと比べると、今回の増加は緩やかなものとなっています。

 2009.06.29
医療ジャーナリスト 牧 潤二
看護師就職ニュース

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