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看護師国家試験対策/知っておきたい制度改正・新制度(第4回)

 平成22年版保健師助産師看護師国家試験出題基準(以下「出題基準」と略)に関わることとして、同21年9〜10月において、新制度が始まったり、新しい調査結果などが出てきました。今回は、それらのうち以下の要点について説明します。

  【1】出産育児一時金等の医療機関等への直接支払制度
  【2】平成20年度社会福祉行政業務報告の結果概要
  【3】介護保険制度の第3期の見込みと実績
  【4】平成20年受療行動調査の結果概要
  【5】平成20年人口動態統計(確定数)

出産育児一時金等は医療機関へ直接支払う
 出題基準の中項目「医療保険制度」に関して、平成21年10月1日から出産育児一時金等の医療機関などへの直接支払制度が実施されました。ただし、経過措置が設けられており、平成22年4月(平成22年度)から全面実施となります。
 この制度の名称において「出産育児一時金等」というように「等」が入っているのは、出産育児一時金、家族出産育児一時金の2つの意味を持たせているためです。すなわち、出産育児一時金とは、出産に要する費用の経済的負担を軽減するために支給するもので、健康保険法(第101条)などで規定されていて、対象は健康保険等に加入している本人です。一方、家族出産育児一時金は、健康保険法(第114条)などで規定されていて、被保険者の被扶養者が出産したときに支給するものです。以下、「出産育児一時金等」と記述する場合は、その2つを含むこととします。
  出産育児一時金等の制度が必要とされるのには、妊娠・出産(正常分娩)は病気ではないので健康保険等が適用されないという背景があります。そのため、従来は、まず医療機関等が妊婦側に対して分娩費用を請求し、それに対して妊婦側が分娩費用を支払い、その後、妊婦側が健保組合などに対して出産育児一時金等を請求し、その支払いを受ける、という仕組みになっていました。しかし、これでは、一時的にせよ妊婦側にまとまったお金が必要となります。
 前政権(自公政権)では、そのような仕組みは少子化対策上も問題があり、手元に現金がなくても安心して妊娠・出産できるようにすべきである、と判断しました。そこで平成21年10月1日から、原則として、出産育児一時金等については医療機関側が支払機関・保険者に対して請求し、そこが医療機関側に対して直接的に支払う、という制度(出産育児一時金等の医療機関等への直接支払制度)に移行しました。また、出産育児一時金等の額を4万円引き上げて、原則として42万円にしました。
  この「出産育児一時金等の医療機関等への直接支払制度」の目的は、妊婦側に一時的にせよ大きな経済的負担が発生しないようにすることです。しかし、妊婦側に分娩費用を請求していたときと比べると、支払機関・保険者から医療機関側に出産育児一時金等が支払われるのは2ヶ月程度遅れることになり、経営基盤の弱い医療機関であれば資金繰りに困る事態が発生する可能性もあります。そこで、厚生労働省では経過措置を設け、「出産育児一時金等の医療機関等への直接支払制度」の完全実施は平成22年4月1日からとしました。また、政府系機関が、その運転資金の融資などにも取り組んでいます。
平成20年度社会福祉行政業務報告で児童虐待に関するデータも
  出題基準の大項目「社会福祉行政」に関して、厚生労働省が10月7日、平成20年度社会福祉行政業務報告(福祉行政報告例)結果の概況を公表しました。同報告は、以下の項目に関してまとめています。

1 生活保護 6 民生委員
2 身体障害者福祉 7 社会福祉法人
3 知的障害者福祉 8 児童福祉
4 婦人保護 9 戦傷病者特別援護
5 老人福祉  

 それらのうち、特に今日的なテーマとしてデータを把握しておきたいのは、平成20年度において児童相談所が対応した児童虐待相談が42,664件で、前年度比2,025件(5%)増となっていることです。その相談における児童虐待の種類として比較的多いのは身体的虐待の16,343件、ネグレクト(保護の怠慢・拒否)の15,905件で、この2種類で全体の3/4を占めています。以下、心理的虐待9,092件、性的虐待1,324件となっています。
 看護職においても、臨床の現場や訪問看護などで、それらの虐待を見抜く力が求められています。
  なお、平成20年度社会福祉行政業務報告(福祉行政報告例)結果の概況は厚生労働省のホームページ(下記アドレス)で閲覧することができます。一度、目を通しておくとよいでしょう。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/gyousei/08/index.html
介護保険の第3期事業計画での見込みと実績が公表
   出題基準の中項目「介護保険制度」に関して、厚労省が9月10日、第3期(平成18〜20年度)市町村介護保険事業計画および都道府県介護保険事業支援計画における介護給付などサービ ス量の見込みと実績を公表しました。それはたいへん長い名称になっていますが、ここでは次の3つのことを覚えておきましょう。

 (1)介護保険制度は、3年を1つの単位(1期)として動いている。そのため、保険料や介護報酬の改定は、
   3年ごとに行っている。
 (2)市町村は、3年を1期として、その市町村が行う介護保険事業の計画(市町村介護保険事業計画)を
   策定する。ここでは、介護サービスの種類ごとの量の見込み、その見込量の確保のための方策など
   を定める。(介護保険法第117条関係)
 (3)都道府県は、3年を1期として、介護保険事業の円滑な実施の支援に関する計画(都道府県介護保
   険事業支援計画)を策定する。(介護保険法第118条関係)

 厚生労働省によると、事業計画の第3期と平成18年度介護報酬改定に合わせてスタートした予防給付(要支援者への給付)は、全体として見込み数に比べて実績が下回っています。
平成20年受療行動調査では看護の満足度のデータも
    出題基準の中項目「健康状態と受療状況」に関して、厚生労働省が9月7日、平成20年受療行動調査の概況を公表しました。受療行動調査は、全国の一般病院を利用している患者の状況、満足度などを調査し、医療に対する認識や行動を明らかにすることを目的としたものです。平成20年受療行動調査は、同年10月21〜23日のうち各施設に対して指定した1日において実施しています。これは、3年ごとに行われている調査で、患者の満足度なども知ることができる公的資料であり、たいへん重要なものといえます。 平成20年受療行動調査は、以下9項目について調べています。

1 病院を選択する際に必要とした情報・入手できた情報 6 外来患者の重複受診を含む受療状況
2 病院を選択する際の情報源 7 入院患者の今後の治療・療養の希望
3 診療科の選択 8 満足度
4 外来患者の診察前の待ち時間・診察時間 9 不満を感じたときの行動
5 医師などから受けた診療に関する説明の状況・理解度  

  それによると、外来患者の満足度のうち「看護師、その他の病院職員による看護や対応」の項目については、「満足」が57.6%、「ふつう」が30.4%で、過半数が満足しています。また、入院患者の満足度のうち「看護師、その他の医療従事者による看護」の項目については、「満足」が70.9%となっています。これは前回(平成17年)調査と比べると5.1ポイント増加しており、入院部門の看護職に対する満足度は高まっている、と見ることができます。 なお、平成20年受療行動調査の結果概況は厚生労働省のホームページ(下記アドレス)から閲覧することができます。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jyuryo/09/index.html
平成20年人口動態統計(確定数)の概況が公表
     出題基準の中項目「人口動態」に関して、厚生労働省が9月3日、平成20年人口動態統計(確定数)の概況を公表しました。そのポイントは次のとおりです。
 平成20年の出生数は1,091,156人で、前年比1,338人増。また、合計特殊出生率(15〜49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの)は1.37で、前年の1.34を上回った。
 死亡数は1,142,407人で、前年より34,073人増加した。全死因(死亡数1,142,407=前述)のうち最も多いのは悪性新生物(がん)で342,963人(前年比6,495人増)、死亡総数の30.0%を占めている。
 出生数から死亡数を差し引くと、−51,251人となる。このように2年連続して自然減(マイナス)を記録しており、わが国の人口は減少に転じる局面に来ている。
  2009.11.06
医療ジャーナリスト 牧 潤二
看護師就職ニュース

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