★保健師のお仕事紹介 [自治体で働く保健師さんにインタビュー]#2

お仕事研究

新卒で保健師になり当初は不安だらけでしたが、
充実した研修と周囲のサポートに支えられて、
仕事のやりがいを実感できるようになりました。

保健師を目指したきっかけ、入職後の研修、担当している具体的な業務内容、仕事のやりがいと難しさなど、保健師という仕事の実像に迫ります。

浜松市浜北区健康づくり課 O・Sさん 保健師 令和4年入庁(区編後:浜名健康づくりセンター)

保健師を目指したきっかけを教えてください

母が看護師で、その姿を見て医療職につきたいと漠然とした思いを持ち、看護学生となりました。看護実習の中で、末期がんの患者さんと出会い、今までの生活習慣に関する後悔や働き盛り世代ということもあり、残していく家族や今後の生活への不安を話してくださいました。その姿を見て、病気を予防する活動や、治療しながら地域で暮らす人々の支援ができる保健師の仕事に魅力を感じるようになりました。

自治体の保健師を選んだ理由を教えてください

保健師には、地域の保健所や市役所で働く「行政保健師」、企業の健康相談部で働く「産業保健師」、小中学校などで働く「学校保健師」があります。行政保健師は、乳幼児期から高齢期まで、その人のライフイベントや人生に関われる仕事です。私自身は、地域に住む住民の病気の予防、妊産婦や乳幼児の子育て支援等、地域で生活する市民のサポートができる自治体の保健師の仕事に関心があり、行政保健師を目指しました。

就職先として浜松市を選んだ理由は何ですか

浜松市は政令指定都市で、市町村の保健センター機能と保健所機能の両方の機能を持っています。健康教育や健康相談、家庭訪問等の地域住民を対象としたサービスに加え、感染症や難病など専門性の高い業務、様々な業務を経験できることが魅力的でした。色々な知識と経験を積みたいと思いました。
また、浜松市は国土縮図型都市とも称されていて、日本を小さくしたような自治体と言われています。都市部もあれば中山間地域もあり、浜名湖や南アルプスなど自然にも恵まれているため、地域ごとに全く特色が異なります。その地域の特色に沿った保健活動が展開できることに魅力を感じ、入庁を決めました。

現在、担当している業務を教えてください

現在は、市民の方を対象とした健康教育や健康相談を行い、疾病の予防や地域でその人がその人らしく生活するためのサポートをしています。また、母子健康手帳の交付や新生児訪問、乳幼児健康診査、子育て相談等の母子保健業務を通して、幅広く母子が安心して生活することができるための支援を行っています。健康づくり課での業務は、乳幼児期の方から高齢期の方まで多岐にわたります。

業務のなかで印象に残った出来事はありますか

メンタル面に不安があるシングルマザーの方を担当した際、お母さんの負担を少しでも軽減するための支援策を考える機会がありました。お子さんの人数も多く、年齢も様々なため、保健師である私たちが就学前のお子さんを、学校の先生やソーシャルワーカー、児童相談所の職員が小中学校に通うお子さんを、それぞれの専門性を活かしてサポートにあたりました。
保健師だけではなく、様々な役割の人が適切に対応することで早期解決を図ることができ、連携し合うことの大切さを学びました。

仕事をするうえで大切にしていることは何ですか

日頃、育児をしているお母さんの話を聞くことが多いです。保健師という立場から、ついつい指導しがちになってしまいますが、少し立ち止まり、相手の立場で考えることを大切にしています。お母さんの話に寄り添って、どのような環境で育ってきたか、どのように育児をされているのか、全体像を理解します。そのうえで、「どのような言葉をかけられたらうれしいのかな」と考え、伝えるように心がけています。相談の後に「ありがとう。助かりました」というお言葉をいただいたり、精神的に不安定だったお母さんが継続的な支援の結果、精神状態が安定して生活されている姿を見ると、うれしさと共にやりがいを感じます。今後とも「あなたに相談してよかった!」と頼りにされる保健師を目指していきたいと思っています。

これまでに仕事で失敗したことはありますか

子育ての経験がないということもあり、はじめはお母さんの育児の相談、支援ができるのか不安がありました。実際、訪問した際にその場で答えられないことも多々あり、苦しい時期がありました。しかし、先輩に相談したり、育児書を読んだり、実際に子育てしているお母さんがどう対処しているのか自分も聞いてみることで自分の持つ知識の幅が広がり、成長を感じます。

保健師の仕事のやりがいを教えてください

保健師の仕事は「人対人」の仕事なので、求められるものは一人ひとり違います。同じ回答をしても、全然違う反応が返ってきます。ですから、相手の立場に立って、その人を理解することがすごく大切ではありますが、とても難しいことでもあります。そこがピタッとうまくいって、相手の要望に応えられたときに達成感を感じます。
今は住宅地の多い地域で母子保健業務をしていますが、3~5年で異動があるので、都市部でも地域が変われば、また違った保健活動ができると思いますし、中山間地域に行けば高齢者を対象とした活動が展開できると思います。地域が抱える課題と向き合って、さまざまなことを学びながら活動の幅を広げていきたいです。

入庁後1年目の研修について教えてください

入庁して2週間くらいは、職種に関わらず入庁者全員を対象とした集合研修がありました。市の取り組みや、電話応対などのサービスマナーが中心です。4月から5月にかけて、市の研修施設に保健師だけが集まり、保健師の仕事の全体像やコミュニケーション技術を習得するための研修がありました。6月以降は、指導員の保健師とペアになって保健師活動を展開します。先輩が受け持つ地域の家庭訪問に同行して、業務内容を見学します。8月以降は、妊産婦や乳幼児~就学前の児を対象にして電話指導や家庭訪問といった保健師活動に取り組みます。1年間はずっと指導員が横で見守ってくれて、振り返りもしてもらえました。困ったことはすぐに相談できたので、一人で悩むことはありませんでした。

看護師と保健師の国試の勉強は大変でしたか

国家試験の勉強は9月から始めました。保健師・看護師ともに問題集を国家試験までに取り組みました。私は、家だと勉強する気が起きなかったこともあり、大学に行ける日は行き、分からないものについては、その日の内に解決するようにしていました。
問題集を単元が終わるごとに見直して、よく間違える問題や模擬試験で難しかった問題に関しては、コピーしてノートに貼り、弱点ノートをつくりました。このノートはとても役に立って、国家試験の前は毎日見ていました。看護師と保健師、二つの国家試験を受けるのは大変でしたが、大学に行き、友人と一緒に試験勉強したことは、良き思い出です。

自治体の職場の雰囲気を教えてください

誰にでも相談しやすい雰囲気です。浜松市は、地区担当制といい、一人で一つの地区を受け持ち、保健活動を行うことが多いです。その中で、情報共有が必要なケースや相談したい出来事についてはすぐに情報共有・相談することができます。また、分からないことについては、作業中でも手を止めて、丁寧に教えていただき、安心して仕事ができています。また、プライベートについても、気軽に話せる、明るい職場です。

保健師を目指す方へのメッセージをお願いします

お母さんたちと関わるなかで、とても感謝されたり、「ありがとう」と言ってもらえたり、私の名前を覚えて頼りにしてもらったり、その一つ一つが嬉しくてやりがいにつながっています。同じ地区を担当して2年目になりますが、顔見知りの住民の方が増えて、社会資源がわかって情報提供できるようになって、地域により愛着がわいてきました。
新卒で保健師になると、育児経験がないなか不安になることも多いと思いますが、浜松市は研修が充実していますし、先輩方もサポートしてくださいます。浜松市は気候も温暖であるため、住みやすい環境だと思います。一緒に皆さんと働けることを楽しみにしています。

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