病院というのは、機能や役割、開設者などによって、さまざまに分類されています。 あなたに合った病院を選ぶためにも種類や分類を知り、病院理解を深めましょう。
病院は医療法に基づき、国、自治体、公的組織のほか、医療法人や学校法人など民間の非営利組織にしか設立が認められておらず、その設置母体や開設者によって分類することができます。多くは病院名の前につく「○○法人」などで区別することができます。
※ここで言う「開設者」は、広義での開設者となります多くは病院名の前につく「○○法人」などで区別することができます。
国が開設者である病院です。厚生労働省の所管である独立行政法人国立病院機構や独立行政法人労働者健康保険福祉機構(労災病院)、独立行政法人国立循環器病研究センター、独立行政法人国立がん研究センターなどのほか、文部科学省の所管する国立大学法人の附属病院などを指します。
公立病院は都道府県、市町村、地方独立行政法人、地方公共団体の事務組合が開設する病院です。
国が健康保険制度または厚生年金制度の福祉施設として設置する、全国社会保険協会連合会を中心に、厚生年金事業振興団、船員保険会、健康保険組合(およびその連合会)、共済組合(およびその連合会)、国民健康保険組合などを指します。 また、厚生連(JA病院)、国民健康保険団体連合会、北海道社会事業協会の病院や、日本赤十字社や済生会も公的病院となります。
一般的に「民間病院」と呼ばれるもので、医療法人が最も多く、そのほか私立学校法人や公益法人、個人、医療生協、大企業の健康保険組合が運営している病院もあります。
医療機関は医療法により、病院(病床数20床以上)と診療所(病床数19床以下)に分類されます。さらに病院は、次の3つに区分されています。
【1】地域医療支援病院 【2】特定機能病院 【3】その他の一般病院
都道府県知事によって承認されるもので、医療機器などを地域の一般病院・診療所と共同利用し、地域の医療従事者への研修を実施するなど、かかりつけ医との役割分担、ほかの医療機関との連携のための支援を行います。
高度先端医療を提供し、高度な医療技術の開発・評価を行い、かつ研修を行うことができる病院に対して厚生労働大臣が承認するもので、全国の大学病院本院などが指定されています。
医療法では、以下の5つに病床が区分されています。
【1】精神病床 【2】感染症病床 【3】結核病床 【4】療養病床 【5】一般病床
この病床の種類に沿って「一般病院」、「精神科病院」などと呼ばれます。そのほか、特定の設置基準を満たす病床(病棟)に対して承認したものに「緩和ケア病棟」や「回復期リハビリテーション病棟」などがあります。
主に末期のがん患者かエイズ患者の苦痛緩和を行うための病棟のことで、研修を受けたスタッフによる緩和ケアチームの設置や病棟床面積などの設置基準をクリアする必要があります。
脳血管疾患や脊髄損傷などの患者さんに対し、リハビリテーションを行う病棟で、専門の医師、看護師はもちろん、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などがリハビリ訓練を行います。
病院施設がある基準を満たしている場合、国や公的機関から認定を受けるものが施設認定であり、「救急病院」「がん診療連携拠点病院」「災害拠点病院」「へき地医療拠点病院」などがあります(それらに基づいて、都道府県などの地方自治体が認定をするものもあります)。 また最近では、主に “医療の質” を評価するものとして、第三者機関である「日本医療機能評価機構」による認定、「国際標準化機構(ISO)」ISO9001の認証を取得する病院が増えてきました。
医師が行う診療や治療、検査などの医療技術、サービスを細かく点数で定め、その点数(1点=10円)によって公的医療保険から医療機関側に支払われる報酬を「診療報酬」と言います。診療報酬のなかで、患者さんを入院した際に得られるものを「入院基本料」と呼び、入院患者数に対し何人の看護職員が配置されているかを表す「看護配置」によってその点数も違ってきます。現在では、「入院患者数:実動看護職員数」を示す、7:1、10:1、13:1、15:1の4つに分類されています。
一般病棟において入院患者さん7人に対し、1人の割合で看護職員が働いていることを表します。「看護必要度」と「医師配置」基準を満たすことが算定の条件とされています。
一般病棟において入院患者さん10人に対し、1人の割合で看護職員が働いていることを表しています。特定機能病院では、看護配置基準が10:1以上であることが定められています。
看護法方式とは、病棟において看護師がどのように業務を進めていくのかを表すもので、次に挙げる3つが代表的ですが、診療科や病棟により複数の看護方式を取り入れている病院や、それぞれの方式をミックスした独自のスタイルを取り入れた病院もあります。
スタッフを2〜3チームに分け、チームリーダーが中心となってケアにあたるもの。チーム全体で問題解決ができ、均一した質の高いケアが可能ですが、リーダーの負担は大きくなります。1年以上継続してチームを固定してケアを行うものを「固定チームナーシング」と呼びます。
1人の看護師(プライマリーナース)が、1人の患者さんの入院から退院までを看護する方式。患者さんと1対1の関係が築け、責任の所在も明確で主体的に看護計画を進めることができますが、各看護師にかかる負担が大きく、スキルの差によるケアのばらつきが懸念されます。
看護師を3〜4人の小単位(モジュール)に分け、それぞれが2、3人の患者を受け持つ方式。受け持ちナースが勤務外の場合は、モジュール内のほかのナースがケアを行います。チームナーシングの効率性とプライマリーナーシングの受け持ち制という双方の利点を取り入れた方式とされています。