就職先を考える時期に看護学生の間で、新卒で精神科というと身体の知識・技術が身に付くだろうかと話したことがありました。当然ですが精神疾患を抱える人もそうでない人も身体はあります。当院のパンフレットでは「フィジカルは前提」と記載されており、体の状態を無視して看ることは不可能だと思いました。基礎的な身体の知識・技術は精神科であっても身に付くだろうと考え新卒で精神科を選ぶことに大きな迷いはありませんでした。また、漠然とした不安に煽られるよりも興味を持てる分野に関わる方が吸収できるものも大きいだろうという思いもあり、自身の気持ちを大切にして精神科への入職を決意しました。
医療職でない家族・友人からは、危険な場所なのではないか、変な人がたくさんいるのではないか、看護者側の心が病んでしまうのではないか等の心配をされました。精神科は閉鎖的で暗い異質な世界と考える人は少なくなかったです。心の健康・不健康は明確な区別がなく、誰でも精神疾患になる可能性があるにも関わらず、不適切なイメージを持たれてしまう事に精神科の難しさと奥深さを感じました。まずは自分が現場へ行き実際を理解したいと思う気持ちが強かったです。
当院は多くの精神科病院で採用されているオレム・アンダーウッドモデルを提唱したアンダーウッド先生による直接指導を受けた病院だと知りました。理想的な看護を追求するための手段として理論を築いてきた長谷川病院で精神看護を学びたいという気持ちから入職を決めました。
入職後の印象としては、集団教育と個別教育ともに教育体制が充実していると感じます。身体疾患を併発している方も多く、基礎的な看護技術も実践しています。病棟の人間関係はとても良く、困ったときは先輩方が気にかけて下さり相談しやすい雰囲気の中で働くことができています。
患者様ごとにどのように介入していくかは悩みが尽きないのですが、全スタッフが意見を交換して質の高い医療を提供できるように努めており、チームの一員として働くことにやりがいを感じます。