当院は大学病院として、高度急性期先進医療を推進するとともに、地域の人々を支える医療を提供するという二面性を持っています。そして特徴としては、キリスト教的人類愛を基本精神とする「病める人を癒し愛ある医療を提供する」という生命の尊厳を基調としていることです。医学部と看護専門学校では、宗教学の授業があり、人間と生命、生命の尊厳について宗教的観点から学んでいます。また当院には、柔軟性のある自由な風土が根づいています。看護師の主体性を大切にしており、色彩が医療者のセルフケア力を高める観点からユニフォームも個人で選択しています。患者さんによりよいケアを提供するためであれば、新しいことも受け入れていく風土があります。当院は大学病院でありますが、様々な部署が良い刺激を与え合いながらチーム医療を推進しています。
教育の柱は、1年目から5年目まで実施される経年別教育プログラムと、自分の目指すレベルに応じた研修を主体的に受講できるラダー別教育プログラムで構成されています。そのなかで新人教育は、集合研修と現場での研修で成長を支えていきます。配属後はプリセプターの指導のもとで患者さんを受け持ち、実践を通じて看護を展開。基本的な看護技術を学ぶことから、キャリアに応じた事例のリフレクション、研究的視点で看護を捉えるなど、「看護」にこだわったプログラムを用意しています。振り返りを蓄積することで実践の場を通しての学びを深め、患者さんにとってよりよいケアを提供していきます。また当院には専門看護師や認定看護師が48名在籍し、専門性を発揮して活動しています。資格取得の際は、資格支援制度を整備し、キャリアアップを目指す人へのサポート体制も万全です。
看護理念は、当院の理念である「生命の尊厳」を中心に、患者さんの持つ潜在能力を引き出し、病を持ちながらどう生きていきたいかの意思決定を支える「コア」、身体への直接ケアを通じての療養支援、治療を通して看護を行う「キュア」という3つの輪で成り立っています。看護部ではセルフケア看護を中心に据えています。病気を持つ人の潜在能力を引き出すセルフケア看護は、慢性期だけでなく急性期でも終末期でも実践できます。患者さんは、生活の調整を行いながら病と共存していきます。病によって生活が再構築され、その中で生命の価値を見出していくことを看護師がアプローチしていくことが大切だと考えています。いい看護師になるためにはゴールはありません。看護は常に学び続けることが求められます。当院では「自律」と「自立」を備え、主体的に学び自ら考えられる人材の育成を目指しています。